その案いただきっ!(村山鑑恵)

戸田ゼミコラムのアーカイブです。このコラムはすでに連載を終了されています。

開店記念には、セールがつきもの。
私のコラムを覚えていただくために、
今日から1週間、ほぼ日刊の大売り出しをいたします。
セール期間中は、籠いっぱいのお話を用意しました。
息切れしたらごめんなさい。

さて、先日、ネットの求職サイトをのぞきました。
興味本位2分、本気8分。
現れたのは、「おシゴト」。わざとらしいほど軽い感じ。
はじめて見たの?なんて言わないでください。
幸いにも見る機会がなかったんですから。

私は30年間ずっとグラフィックデザイナーだったので、
迷わず、職種<クリエイティブ系>をクリックしました。
広告、グラフィックと、出版、印刷関連。
他にもゲームやインターネット、イベント…と並んでいます。
必要なスキルで分けてあるなと納得しました。
知らない間にずいぶん細分化し増殖しているのには驚きです。

求人欄では、きれいなおねえさんが元気な笑顔でパソコンに向かい
「初心者でも大丈夫」とささやいています。
体験した、「お試しリクルート」のことは、
次の機会にお話ししたいと思います。

今回は、歳について。
新着の求人情報をひとつ選んでみました。
  「いい原稿作ってくれてありがとう!」と、
  クライアントから言われることもあります♪
うーん、安っぽいコピーだけど、これに応募してみようかな。
ボタンをクリックして<詳しく見る>
<応募する>へと進んでいくと
<応募する>では、今までエラそうに
おシゴトの品定めをしていた自分が
いきなり品定めされる側にまわりドギマギする瞬間です。

さて、<応募する>にすすむと、
送信専用の履歴書用紙(エントリーシート)が現われます。
真っ先にプロフィールの記入欄。
うっそー! 年齢は必須事項なの?
タレントだって、年齢不詳はいっぱいいるじゃない。
就職じゃなく、ちょっと仕事したいと思っただけなのに、
歳をばらすなんてひどい。
本気でそう思いました。
歳を記入しないと送信できない仕組みです。

年齢上限がない求人もありますが、たいてい、35〜40歳までです。
発注者にしてみれば、若い子のほうが仕事も頼みやすいし、
若くてぴちぴちした女性相手は楽しいでしょう。
腕と度胸と若干の生きる知恵だけで荒波くぐってきた私が、
年齢で勝負させられてるぅー、と滅入る瞬間です。
若い子がいいんだよ!とはっきり突きつけられてる気分。
お金たくさんほしい、なんて言ってないのに。
戸田先生のように、早い時期に賢く将来を考えていれば良かったです。

30歳で、会社初の女性アートディレクター、
独立してからは、女社長とおだてられ、
若さを奔放に使い、
目の前の仕事にのめり込んで突き進んできました。
子供なんか二人も産んで、
子育てが楽しくて夜の時間を仕事の営業に
使わなかったツケがまわったきたんだわ。
バチあたりなことを考えてしまいました。

そうだ、ウソ書こう!運良く面接にこぎ着けたら
歳なんてそんなの関係ない。腕一本の世界だし。
以前、別の仕事で、年齢を書くのが嫌で
電話で応募したこともあったっけ。
若く見えることを良いことに、10歳サバ読んで入力。
即座に「**歳」と表示する、おせっかいPC。
全ての求人に年齢上限があるわけではないけれど、
58や67と書かれたら、
若い担当者はビックリするぞという予感があります。
ウチの会社にそんな人が応募してきたら、困っちゃいます。

今の年齢はいやではありません。
問題はまわりがいやがっているということなんです。
後期ミドルエイジっていうのかしら?
若くないけどおばあさんじゃない。

賞味期限と品質保証期限は
その目で見て、判断してほしいものです。
サバ年齢と真面目な実績をたっぷり書き込み、
そのまま送信しました。

今日から「その案いただきっ!」を
書かせていただくことになりました。
ノリックの村山鑑恵(むらやまのりえ)です。

グラフィックデザイナー
(株)ノリックの代表として
また、二人の子の母として
東京の片隅で額に汗して走り回っています。

失敗したり、怒ったり、慌てまくったりのドタバタ生活も
経験のない人には活劇のように映るかもしれない。
そんなお恥ずかしい話も、
どなたかが、「その案いただきっ!」
と、お買い上げくださるかも!?
で、まずはお店の商品の陳列と棚卸しから始めましょう。

オトナになってからのシゴトとワタシ。
失敗の話や恥をさらした話。
棚の奥から出てきた色褪せた新聞記事に
往事を懐かしむことがあるかもしれません。
それはかわいい自慢話と思って聞き流してください。

子供を出産するまで
仕事の現場で「私」の話をすることを避けてきました。
「恥ずかしい」というより
「女性特有のガンバリ」に見られることは
損で、嫌だったからです。
でも、今、もう良いかなって思えます。

邱永漢先生の中国ベトナム考察団に参加し
そのご縁で、戸田先生に出会いました。
邱先生の大ファンの戸田先生、
つまりいっぺんに二人も師を得て、心強い船出です。
自慢じゃないけど
受けた仕事と誘われた酒宴を断ったことがありません。

先日、10年後の夢は?と友人に尋ねられ、
あつかましくも「美人実業家」と答えました。
その、記念すべき、第一歩がこの戸田ゼミ通信です。
どうぞよろしくお願いします。

準備完了、さぁ、開店です。
いらっしゃいませ!

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